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しかし、塗り壁であれば、何でも調湿する訳ではありません。
漆喰の調湿性は、それほど高くないということを別のページで解説しましたが、他の塗り壁材も、塗り壁であるというだけで、調湿はしないのです。
調湿もしないのに、塗り壁だから調湿するという宣伝文句では、消費者が混乱するということで、「調湿する建材」には、JIS規格で厳格な基準が設けられています。
どのような基準かと言うと、テストしたい塗り壁材を、そのメーカーの施工要領に基づき、1mmなり、2mmなり塗った試験体が、実際に、どの程度調湿するかを測定して、調湿性能を客観的に評価するのです。
そこで、JIS規格では、JIS A6909という試験方法を定めています。
これは、1m²に塗り広げられた試験体が、24時間の間に、何gの水蒸気を吸収する力があるかを測定します。またその後の24時間で、何gの水蒸気を吐き出すかを測定して、調湿能力を決定するのです。
試験体が湿っていると、正しい試験結果が出ないので、試験を開始する前に、試験体をJIS規格に基づき乾燥させます。そのことを、養生期間を取ると言います。
養生期間が終わったら、最初に湿度90%、温度23度の湿った空気の部屋に試験体を入れ、24時間後、重さが何g増えるか確認をします。その増えた重さが吸湿した水蒸気(水分)の量ということになります。
そして次に、試験体を湿度45%、温度23度の乾いた空気の部屋に移動させます。そして、24時間後の重さを計り、どの程度軽くなったかを確認します。
これが、放湿した水蒸気(水分)の量ということになります。
繰り返し何度も行い、なんどやっても、吸湿量、放湿量が大きく変わらないことを確認し、その吸放湿の平均値をとって、調湿量とする訳です。
実際の試験においては、1m²の試験体では試験しにくいので、30cmほどの小さな試験体を作って、測定結果を1m²に換算しなおします。
JIS規格において、調湿性能があると認められる性能は、1m²の塗り壁で、24時間の調湿量が70g以上の性能がある製品のみです。
単位は、70g/m²/24h(70g、ぱーm²、ぱー24時間)となります。
つまり塗り壁だから調湿するという迷信じみた話ではなく、客観的な評価基準があるので、JIS規格(JIS A6909)に基づき、何g調湿する塗り壁であるのかを確認すればいい訳です。
見た目や、メーカーの宣伝に関係なく、JIS規格に基づき、何g調湿する塗り壁であるかを明示しているメーカーは信用できると思います。
塗り壁の魅力は、調湿性能だけではありませんが、もし、塗り壁選びの基準として、調湿性能を大事にしたい方の場合は、JIS規格の調湿性能試験を実施しているのかどうかを確認し、かつ、調湿性能が何gだったのかを確認されるといいと思います。
調湿性能は、珪藻土塗り壁「はいから小町」241g、花の塗り壁「漆喰美人」94g、カオリンの壁「パーフェクトウォール」は、61gです。
はいから小町は、JIS規格の3倍以上調湿し、漆喰美人は、JIS規格の70gをクリアした程度、パーフェクトウォールは、残念ながら、わずかに70gに届きませんでした。
したがって、はいから小町と、漆喰美人は、JIS規格に照らし合わせても、調湿建材だと謳えますが、パーフェクトウォールは、調湿建材とは謳えません。
といっても、一般的な漆喰の調湿量が40gとされていますので、パーフェクトウォールであっても、漆喰の1.5倍程度の調湿能力は、あるということになります。
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