漆喰か珪藻土か迷っている方、予算がないけど塗り壁は諦めたくないという方、メール講座をご活用ください。
調湿性能を期待して漆喰にするという人も多いと思います。
しかし、「漆喰」は、調湿する建材ではありません。
というか、ほぼ調湿建材ではないと思います。
では、何を持って、そう言い切るかというと、調湿建材には、JIS規格に明確な規定があって、その基準をクリアする素材でない限り、
調湿建材とは謳えないことになっているのです。
では、漆喰が調湿建材ではないというのは、どういうことか解説致します。
そもそも昔の漆喰は、土壁の上に塗られていました。
だから、15cmとか20cmとした下地の土壁と1mm、2mmの仕上げ材としての漆喰がセットになって
調湿性能を発揮した訳です。
しかし、現在の住宅の壁下地は、ほぼ100%石膏ボードです。
石膏ボードには、調湿性能がありません。
従って、その石膏ボードに、1mm、2mmの厚さで漆喰を塗っても、調湿性能は発揮してくれないのです。
一般的な漆喰の調湿性能は、40g程度と言われています。
調湿建材と呼ぶためには、JISの最低基準をクリアしないとなりません。
調湿する建材の性能を評価するために、JISには、調湿建材の性能を測定する規格が
設けられています。
それが、24時間の性能で、70g以上というものです。
詳しい測定方法は、のちほど解説しますが、
70g以上の調湿性能がないと、調湿する建材とは、呼べないことになっているのです。
JIS規格には、日本の工業製品の品質を担保するために、様々な規格があり、また各種の評価試験の方法が、規格化されています。
調湿性能があるとされる建材に関しては、JIS A6909という評価方法が定められています。
そして、1m²に塗り広げられた「試験体」が、24時間で、何gの水分を吸収したかで、
その製品の「調湿性能」が評価されることになっています。
調湿性能に測定に当たっては、まず、調湿性能を測定したい製品の「塗り見本(試験体)」を作り、
それを湿度45%、温度23℃の環境に48時間以上なじませ、試験体に含まれる湿気の量を調整します。
その後、湿度90%、温度23℃に調整された恒温機と呼ばれる箱の中に移動させ、
湿気を吸収させます。
つまり、乾燥した試験体を、湿った箱の中に入れる訳ですから、調湿性のある素材なら、湿気を吸って
重たくなるという訳です。
そして、24時間湿気を吸収させて、何g重くなったか確認します。
その後、今度は、また湿度45%、温度23℃の恒常機に移動させ、24時間待ちます。
すると、調湿性のある素材であれば、吸収した水蒸気を吐き出して、今度は重さが軽くなります。
この湿気を吸わせたり、吐かせたりする作業を繰り返し、繰り返し、何度も行う訳です。
湿気を吸収する素材はあっても、「吸湿」するだけでは、「調湿建材」とは、呼びません。
調湿とは、「吸湿」と「放湿」の両方の性能があることを言うのです。
つまり、石膏ボードは、ある程度「吸湿」はしますが、「放湿」は得意としていないので、調湿建材とは呼べないし、シリカゲルなどは、「吸湿性能」には優れていても、「放湿しない」素材である訳です。
吸湿剤として使われる素材が、放湿しては困ります。
なので、「吸湿」もして、「放湿」もする素材でないと、調湿建材とは呼べない訳です。
したがって、調湿建材の性能を測定するJIS規格においても、
吸湿と放湿の試験を繰り返し行い、何度も、吸放湿を繰り返す素材でないと不味いことになっているのです。
だから、吸湿した水分の量と、放湿した水分の量を重さで比較して、「調湿性能」を判定しているのです。
漆喰は、40g程度の調湿しかしないので、調湿建材とは呼べない。
そして、調湿建材と呼ぶためには、最低70g以上の調湿性能を発揮しないとならないし、
何度も繰り返し、「吸湿」と「放湿」の両方の性能を発揮してくれないと困る訳です。
つまり、調湿する建材とは、吸湿した量と、放湿した量の「差」が、70g以上あり、繰り返し調湿性能を発揮してくれる素材ということになるのです。
アトピッコハウスでは、3種類の塗り壁を製造販売しています。
一番調湿性能が高いのは、珪藻土塗り壁「はいから小町」で、調湿性能は、241gあり、JIS規格の3倍以上、一般的な漆喰の6倍以上の性能があります。
また、漆喰調に仕上がる漆喰美人という製品は、94gの調湿性能があり、JIS規格の1.3倍、一般的な漆喰の2倍以上の調湿性能があります。
カオリンという粘土を原料にしたパーフェクトウォールという製品は、61gなので、JIS規格の基準に照らし合わせると、調湿建材とは呼べません。
それでも、一般的な漆喰の1.5倍程度は、調湿する訳です。
もし、漆喰に求めるものが「調湿性能」ということであれば、消石灰を原料にした「本漆喰」と呼ばれる
本物の漆喰ではなく、漆喰調に仕上がる塗り壁とか、珪藻土など、他の塗り壁材を検討するのも、
1つの方法かも知れません。
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