漆喰を外壁や塀など屋外に使用する難易度
漆喰は、耐水性があるので、屋外にも使用できる建材です。お城の外壁や土蔵などが漆喰仕上げになっている通り、雨が当たる場所にも塗られています。
漆喰とは外壁材としてだけでなく、内壁材としても昔から使われてきた建材ですが、
ここでは、漆喰を外壁などの屋外に塗る手順や、さまざまな屋外使用の可能性をご説明したい思います。
アトピッコハウスの漆喰調塗り壁「漆喰美人」は、内装用なので、外壁等屋外には使えません。
では、屋外用と、屋内用にはどんな違いがあって、施工面でも、どんな違いがあるのでしょうか?
目次
漆喰を外壁に使うメリット
左官仕上げの漆喰壁が外壁に昔から使われてきたのには理由があるはずです。
外壁材に漆喰を施工するメリットはどんなところでしょうか?
漆喰のメリット
メリット① 意匠性がある
左官職人がコテで仕上げますので、独特なコテ模様を効果的に演出できます。
左官職人さんの個性や技術によって差がありますが、技術力のある左官職人さんを自分で見つけるのは難しいです。
白く美しい見た目の漆喰壁は高級感があふれる仕上がりになります。
和風の建物だけではなく、洋風の建物やマンションの外壁にも調和します。
メリット② 耐久性が高い
漆喰は硬く固まるので、長い年月の風化に耐えられます。
メリット③ 経年変化が楽しめる
使っていくうちに、独特の味わいが出てきます。
メリット④ 防火性が高い
漆喰は防火性が非常に高いので、火災から建物を守ってくれる効果にも期待ができます。
メリット⑤ 調湿性能が高い
漆喰の表面は、多孔質になっており調湿性能がありますので、高温になる夏の暑さ対策にも期待ができます。
メリット⑥ エコ
自然素材で作られている漆喰は、土にかえります。
撤去した際も廃棄を極力少なくすることができますので、地球環境にやさしい素材と言えます。
漆喰外壁のデメリット
高級感があって、味わいのある仕上がりの漆喰ですが、デメリットもあることを確認し、
納得した上で漆喰を採用しましょう。
漆喰のデメリット
デメリット① コストが高い
左官仕上げの漆喰壁は、適切な下地処理をし、乾燥、上塗りと過程を経るため、工期が長くなります。
そのため、工事費用は高額になります。
施工には左官職人の高い技術が必要なので、技術料も高くなりますので、
左官職人が仕上げる外壁を漆喰で安い費用で済ませることは困難と言えます。
デメリット② 傷がつく、ヒビ割れる
固い鋭利なもので、擦ると傷がつくこともデメリットの一つです。
また、天候や気温の影響、地震などの揺れによって、ヒビが入ることがあります。
補修する場合は、早めに対応しましょう。
デメリット③ 汚れが付着しやすい、カビが生えることがある
漆喰の表面は凹凸があるため、汚れが付着しやすいです。
調湿性能の高い漆喰ですが、糊などの成分は水に弱いため、乾燥しにくいジメジメした場所ではカビが生えることがあります。
漆喰 外壁用商品の種類
漆喰といえば、お城などの真っ白でつるんとした表面の壁が魅力的ですが、
日本国内だけでなく西洋でも、古くから使われてきました。種類によって仕上がり印象も異なります。
・本漆喰
日本で最もポピュラーなのが、本漆喰です。
主成分の消石灰に、スサなどの繊維や、のりなどを混ぜ合わせます。
真っ白な見た目が魅力的な特徴で、古くからの神社仏閣、お城など
歴史的な日本の建造物は、ほとんど本漆喰が塗られています。
・土佐漆喰
高知県で使われてきた土佐漆喰は、本漆喰と違い少し黄味がかっているのが特徴です。
本漆喰との大きな違いは、「のり」を入れないことです。
土佐漆喰はワラスサを発酵させ分泌される糖類が「のり」の役割を持ちます。
本漆喰は保水性をあげるためにツノマタなどの「のり」を入れていますが、
のりは水に弱く、もろくなることがあります。
土佐漆喰は糊を入れないので、本漆喰よりも水に対して強く、丈夫で厚塗りができます。
色ははじめ黄色っぽい仕上がりですが、紫外線にあたることで徐々に白くなってきます。
・琉球漆喰(ムーチー)
高知と同じように台風がよくくる沖縄では、屋根瓦をおさえるために、ムーチーが使われてきました。
ムーチーも、土佐漆喰同様に「のり」を入れません。
消石灰とワラを発酵させています。
土佐漆喰も琉球漆喰もワラを発酵させてつくる漆喰外壁のため、茶色っぽい色です。
ムーチーのほうがワラの配合量が高いため、濃い目に仕上がります。
・西洋漆喰
作られる地域によって材料が違うため、産地によってスイス漆喰や、スペイン漆喰などと呼ばれます。
スイス漆喰は、アルプス原産の不純物の少ない石灰石を原料に、300年変わらない伝統製法で作り続けられています。糊や接着剤を入れていない100%自然素材です。
スペイン漆喰は、スペイン産の石灰を主成分とした消石灰に大理石や色粉、セルロースファイバーなどを混ぜ合わせています。その他にも砂、凝集剤、保湿剤、防水材などを混ぜ合わせ、壁に厚みが出るようにしています。
日本の家屋は柱と梁で壁の強度を高めているので、漆喰を厚く塗り重ねる必要はありません。スペインやスイス、西洋では壁に石やレンガが使われています。崩れてこないように漆喰を分厚く施工し、強度を増す必要があるため、分厚く塗れる漆喰が使われてきました。
外壁を漆喰にするのはプロの仕事
まず初めに、新築住宅など工務店に依頼して注文住宅を建てる場合、外壁に漆喰を塗るのは、100%プロの仕事です。リフォームであっても、外壁に漆喰を塗るのは、防水の問題もあるので、ほぼ100%プロの仕事となります。
漆喰に限らず、外壁塗装は水が入ってこないような下地処理が必要なのです。仕上げとして塗る漆喰に耐水機能があるといっても、それは、防水性があるということではないので、下地の段階で、防水しないとならないのです。
スベイン漆喰など海外の製品も同じです。また、モルタルに漆喰を吹き付け出来るといった種類の製品も、製品そのものに防水機能はないので、下地の段階で防水対策を終わらせていないとならないのです。
また、外壁に漆喰を塗る場合、足場を組まないとなりませんし、高所作業となりますから、DIYで外壁に漆喰を塗ることは、ほぼ無理だとご理解頂いた方が良いと思います。
漆喰を外壁に塗る手順、方法
漆喰を外壁に塗る場合、まず、漆喰を塗るための下地を作ります。外壁下地材に、ラス網を貼って、モルタルを塗って、その後、モルタルの上に下塗用の漆喰を塗って、完全に乾いてから、仕上げ用の漆喰を塗ります。
漆喰メーカーが指定する施工手順、工期、施工方法に従って、塗る厚みも守ります。
日本家屋は、木造が基本です。地震などがあれば建物が揺れて、漆喰に割れが発生することもあります。その場合も、リフォームで補修できます。
ただ、こちらもプロの仕事です、一番の問題は、「防水対策」と、足場を組まないと届かないような高所作業になるといった点です。
漆喰の特徴
漆喰は、消石灰を主成分としており、様々な模様が付けられ、耐用年数は100年とも言われます。しかし、それは、漆喰が空気中の炭酸ガスと反応して徐々に硬くなり、最終的に、もともとの原料である石灰石に戻る年数のことを言っています。
それに漆喰が100年もっても、建物が100年持ちません。漆喰を外壁に塗る最大のメリットは、意匠性だと思います。単価は、外壁にサイディングを貼って仕上げるやり方と比較すると、割高になります。
耐久性があるといっても、経年劣化しますので、メンテナンスフリーという訳でもありません。撥水性もありますが、それは防水ではありません。ただ、珪藻土は、室内にしか使えないので、漆喰の方が、施工範囲が広くなります。
外壁とは、雨風から建物を守る外皮です。
漆喰を作る方法は、石灰石を焼いて、その後、水を加えて作った消石灰に、スサなどの繊維や、のりなどを混ぜ合わせます。基本的に自然素材ですが、化学繊維や化学糊を使っている製品もあります。
漆喰というと、調湿効果を期待されると思いますが、外壁に漆喰を塗っても、効果を実感できないと思います。
DIYで屋外に漆喰を塗れる範囲
漆喰を外壁に塗るのは、防水の問題、足場の問題でプロの仕事だと言いました。外壁は、雨が入ってこないようにしないとならない訳ですが、漆喰を塗っただけの状態では、防水にならないので、下地の段階で「防水層」を確保する方法がをとらないとなりません。
しかも、ちょっとの揺れで、ヒビが入るようでは、それも雨漏りの原因となります。ヒビが入って、見た目が悪くなる程度ならまだしも、水が入ってきたら目も当てられません。それに、外壁に漆喰を塗るとしたら、高所作業となるので、足場を組まないとなりません。
平屋建ての壁であれば、脚立を使って、漆喰を塗ることも可能かも知れません。しかし、防水の問題は、避けて通れません。
DIYで屋外に漆喰を採用できるとしたら、塀とか門柱だと思います。
ただ、こちらの場合も、新築の家で、塀や門柱にDIYで、漆喰を塗ることは、ほぼないと思います。新築から5年、10年経過し、新築時に塗った塗装なり、仕上げ材が剥がれてきたので、自分で塗ってみようというケースだと思います。
セメントやコンクリート下地であれば、自分で塗ることも可能だと思います。とはいえ、下地を洗浄し掃除してからでないと、漆喰は塗れません。最近では、屋外用のDIY用製品というのもありますので、それを通販で買って漆喰DIYに挑戦するというのもありかも知れませんが、室内のDIY以上に難易度が高くなるのは事実です。
漆喰の塗り方は、こちらを参考にしてください。
ただ、塀や門柱であれば、防水の問題もありませんし、高所作業でもないので、失敗したら、塗り直しするという覚悟で挑戦しても良いと思います。塗り方は、メーカーの施工手順に従えば問題ありません。
また、古民家の古い塗り壁を漆喰でDIYするというのは、プロでも難易度が高いので、素人の方のDIYでは、ほぼ無理です。おすすめは、費用は高くなりますが、プロに工事を依頼することです。
外壁を漆喰にする目的が何なのか、費用は、いくらなのか?
そうしたことを吟味しないと、あとで、後悔しないとも限りません。
黒やグレーといったカラー漆喰の施工は、さらに施工の難易度が上がります。モルタルの上に塗る場合は、適切な下地処理をしないと剥がれる危険性があります。
漆喰外壁のメンテナンス方法
ここからは漆喰壁の外壁のメンテナンスについて、ご紹介します。
漆喰もカビが生えたり、コケが生えたりして汚れます。ケルヒャーなどの高圧洗浄機を使って、壁を洗浄することも可能ですが、不用意に高圧洗浄機を使うと、室内に水が入ってきたり、ひび割れている漆喰が剥がれたりするので、汚れ落としのメンテナンスには注意が必要です。
高い部分の汚れ落としなど、高所作業になる場合は、プロにメンテナンスを依頼した方が良いです。
上から下に向かって汚れを洗浄する方が、防水が利くので、水漏れの心配が減ります。となると、やはり足場を組んだ方が良いということになります。
プロにメンテナンスを依頼した場合、汚れを落とすだけでなく、カビの落し方も教えてくれますし、黒ずみ、クラックの補修、修理も状態に合わせてやってくれます。
汚れの落とし方もプロなので、雨だれで変色している箇所の汚れも、見違えるように綺麗な状態になります。
室内の漆喰なら、塗り替えたり、ハイターを作って漂白したり、洗剤を使って対策するということも可能ですが、やはり、建物の外壁の塗り替えは、DIYでは難しいです。
漆喰外壁のメンテナンスをDIYでする方法
・汚れをメンテナンス
表面の小さい汚れであれば消しゴムで簡単に落とすことができる場合があります。
ゴシゴシと水拭きすることはできませんが、硬く仕上がっている漆喰は、表面にサンドペーパーをかけることも可能です。
サンドペーパーは目の細かい(300番手以下)がおすすめです。
「激落ちくん」などの、メラニンスポンジを使って汚れ落としも可能です。
・ヒビ割れ、傷をメンテナンス
ヒビ割れが発生した場合は、余った材料を利用し埋めることも可能ですが、
塗り直した部分は、既存部分より目立ちます。見た目をきにしないならDIYでもやろうと思えばやれます。
全体的に劣化が激しい場合は、既存の漆喰を剥がして下塗りからもう一度やり直すことが必要で、大がかりになります。
・カビをメンテナンス
表面にカビが生えた場合は、ハイターなどの塩素系漂白剤で落とすことができますが、
根本的な問題点を解決しない限り、カビは繰り返す可能性があります。
例えば、日当たりが悪くジメジメしている側の外壁であれば、同じ条件ということですから、
何度カビを除去しても繰り返す可能性が高いです。
漆喰外壁のメンテナンス費用
漆喰外壁のメンテナンスをDIYでやる場合は材料費だけなので、
金額はおさえることができますが、できる限りプロに相談することをおすすめします。
業者に依頼をする場合、
重ね塗りするか、塗り直しするか、方法によって金額は大きく異なりますので、
メンテナンスする漆喰外壁の料金は、何社かに見積もりをとって相談や比較をするといいでしょう。
建築会社のアフターフォローが充実しているかも、新築契約時に確認しておくと、
いいでしょう。
漆喰を外壁に塗る費用
漆喰を外壁に塗る場合は、下地の段階で防水をしっかりやって、モルタルを塗るための下地を作って、その後、漆喰を下塗り、上塗りと、重ね塗りします。
サイディングをパパっと貼って終わるのと違って、手間暇も材料代もかかります。
費用にすると、サイディングの相場の2倍も3倍もかかると思います。しかも、建物の外装全部ということになりますので、面積も広く、結果、値段も高いものになります。
漆喰の価格に見合う価値は、意匠性と、満足感だと思います。珪藻土で問題になったアスベント等の問題もないですし、自然素材という安心感もあります。
それに、漆喰は100年持つといいますから、キチンとメンテナンスすれば、建物が建っている間は、塗り替えは必要ないかも知れません。
リーズナブルに漆喰風外壁にリフォームをする方法
和風な漆喰で外壁をリフォームしたいが、左官職人が仕上げる本物の漆喰は高額すぎて、予算オーバーになる。
本漆喰や自然素材の漆喰は、技術料や工事日数が必要なためリフォーム費用が高額になりますが、
漆喰風に仕上げる左官材や塗装であれば、塗装業者が施工することができるため、
リフォーム金額をおさえることができます。
漆喰風に仕上げる塗装の場合、あくまでも漆喰風にするという外観重視なので、
本漆喰のような耐久性や高い性能や効果は望めません。
まとめ
漆喰を屋外に施工する場合、一番注意したいのは、常時雨とか水に触れる場所には塗らない方が良いということです。耐水性があるとは言え、いずれ剥がれてきます。また、下地に適した下塗りや下地処理が必要であること、塗れない場所があることなど、メリットデメリットを理解しておかれると良いと思います。
アトピッコハウスの漆喰調塗り壁「漆喰美人」は、内装専用の漆喰調塗り壁です。調湿性能は一般的な漆喰の2倍、消臭性能の高い塗り壁です。
よくあるご質問
漆喰美人は、外壁に使えますか?
漆喰美人は、アトピッコハウスが製造販売する漆喰調塗り壁ですが、内装用なので、外壁にはお使い頂けません。調湿性能は、一般的な漆喰の2倍程度、消臭性能も高いので、室内の工事にご使用を検討ください。
漆喰もカビるというのは、本当ですか?
漆喰は強アルカリなので、カビが生えないという人がいます。しかし、漆喰が強アルカリなのは、施工後およそ5年程度です。その後は、中性化し、カビたり、コケが生えたりします。漆喰塗りの外壁や塀などの黒ずみは、カビやコケの可能性が高いです。
漆喰と、他の外装材の違いを教えてください。
漆喰は塗り壁材ですから、防水性能はありません。漆喰を塗る前に、防水処理をしないとなりません。サイディングやガルバニウムといった仕上げ材も、仕上げ材単独で防水性がある訳ではありませんので、下地の段階で防水処理をする必要があります。漆喰と違って、仕上げ工事が簡単なので、工事は漆喰よりも安くできます。
漆喰を外壁に使う価値を教えてください。
外壁を漆喰にするといっても、昔と違って、作業工程は簡素化されています。それでも、漆喰は塗り壁なので、手間暇がかかります。しかし、外壁を塗り壁にするというのは、結構な贅沢です。高級感があります。一番のメリットは、意匠性と高級感ではないでしょうか?
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