屋根の漆喰の補修と、メンテナンス
屋根に漆喰が使われている家というと、基本、瓦屋根で、築年数も古い建物だと思います。現在は、瓦ぶきのお宅でも漆喰は使わない構造になっています。
では、伝統的な瓦葺きの日本家屋では、どの部分に漆喰が使われており、どのようなメンテナンスが必要になるのか解説したいと思います。
アトピッコハウスには「漆喰美人」という漆喰調に仕上がる塗り壁がありますが、こちらは、内装用なので、屋根及び外装にはお使い頂けません。ただし、調湿性能消臭性能が高いので、内装に漆喰を採用する場合は、ご検討ください。
目次
屋根の漆喰の役割り
自然素材の内装材専門メーカー、アトピッコハウスの後藤です。
漆喰とは、外壁とか内壁に施工されている白い壁のイメージが強いと思います。確かに、その用途がメインです。では、屋根のどの部分に漆喰が使われているとかというと、棟(むね)と呼ばれる屋根の一番高い場所です。
棟瓦(むねがわら)と呼ばれる平たい瓦を積んでいって、最後に、防水の目的で、棟瓦を積んでいく際に使う葺き土(ふきつち)と呼ばれる粘土の表面に3mm程度の厚みで漆喰を塗っていきます。
注意しないとならないのは、漆喰を塗りすぎて、雨に当たらないようにする必要があるということです。常時、雨風にさらされると、漆喰に耐水性があるといっても、漆喰が剥がれてきます。すると、雨水が葺き土(ふきつち)に染み込み雨漏りの原因となります。
瓦と漆喰の寿命の違い
瓦は、製品にもよりますが、35年から60年の対応年数があります。50年から60年と考えて良いと思います。つまり、2世代、3世代にわたって、耐久性があり劣化しないということですね。
しかし、瓦を積んでいく過程で使われる瓦の漆喰は、20年程度の時間で劣化し、メンテナンスが必要となります。もし、メンテナンスせず放置しておくと、雨水が侵入し、家を腐らせることになります。
20年程度で建て替える家なら話が別ですが、50年、100年と持つしっかりした家を建てた場合、20年毎を目安として、棟(むね)に使われる瓦の漆喰をメンテナンスする必要があるのです。
漆喰のダメージと主な症状
漆喰は、屋根の頂点、棟(むね)の部分に使われていますが、20年ほどで、寿命が尽きます。風雨の影響で漆喰が剥がれてくるわけですね。すると、次には瓦が崩れ、やがては、雨漏りするようになります。そこで、修理が必要になる訳です。
1つ1つ見ていきましょう。
・棟の台土が流出
屋根の一番高い部分を棟(むね)と呼ぶと言いました。棟は、棟瓦(むねがわら)という専用の瓦を、葺き土(ふきつち)と呼ばれる粘土を接着剤代わりに使って、何段にも積んでいきます。
しかし、屋根瓦と、棟瓦の接点は、「隙間」が出来るので、瓦用の漆喰を詰めて、隙間をふさぐのです。専門の業者は、風雨の影響を受けないよう漆喰を塗っていきます。ポイントは、雨に直接当たらないよう、瓦の下に塗りこめることです。
もし、防水層としての漆喰が崩れると、土台となっている葺き土が流失し、棟瓦が崩れることになるのです。
・瓦の抜け落ち
棟瓦(むねがわら)を積み重ねていくときに使用する葺き土が流出すると、棟瓦が抜け落ち、雨水が屋根裏に侵入します。すると、雨水は屋根裏を伝って、やがて屋根を腐らせ、雨漏りするようになります。
瓦そのものは、50年も60年も耐久性があるといっても、屋根瓦の隙間から入った雨水の影響で、建物が腐っては、元も子もありません。
・雨漏り
屋根瓦は、山になっている箇所よりも、谷になっている箇所のほうが、雨風の影響を受けやすくなります。瓦の下には、防水性のあるルーフィングと呼ばれるシートが張られているので、強風により瓦の隙間から多少の雨水が入っても、直ぐには雨漏りはしません。
しかし、ルーフィングも痛みますし、大量の雨水が入ってきたら、防水しきれず、室内に雨漏りします。また、棟瓦の漆喰が劣化し剥がれたら、葺き土が崩れ、雨水が侵入します。棟瓦の漆喰は、20年に1回程度は、塗り替えが必要であると認識されておく必要があります。
軒先にもある屋根の漆喰
漆喰は、瓦の下に雨水が侵入してこないための「防水層」だという話をしました。棟瓦(むねがわら)は、平たく、屋根瓦は、湾曲しているので、その隙間を漆喰で埋めて、雨水が入ってこないようになるわけですね。
昔の建物の場合は、屋根瓦の一番低い部分、軒先にも「隙間」が出来るので、その部分にも漆喰を詰めて、防水する必要がありました。しかし、現代の家づくりにおいては、湾曲した屋根瓦の隙間を埋める工業製品の部品が開発されていますので、工事を簡単に済ませられるというメリットがあります。
また、20年ごとのメンテナンスの必要もなくなりました。
アトピッコハウスの「漆喰美人」は、内装専門の漆喰調塗り壁です。消臭性能が高く、調湿性能は漆喰の2倍です。
屋根の漆喰を補修する時の注意点
屋根の漆喰を補修する作業は、危険ですし、難しいので、必ず、工事業者に依頼しましょう。また、20年に1回程度のメンテナンスを怠ると、雨漏りの原因になるので、注意が必要です。
ここでは、補修の方法に関して簡単な手順をご説明します。
・古い漆喰を取り除く
棟瓦(むねがわら)に使用されている漆喰のメンテンスをする際には、まず、古い漆喰を剥がします。葺き土(ふきつち)が崩れていなければ、剥がすのは、表面の漆喰のみです。
20年も経つと、漆喰の美しい白色は変色していますが、バシャバシャと雨水に打たれることがなければ、20年ほどは耐久性があるので問題ありません。表面の材料だけ剥がしてください。
下地の葺き土が現れます。
・葺き土を整え、湿り気を与える
次に、葺き土に、霧吹き等で、湿り気を与えます。乾いたままの状態で漆喰を塗りつけても、上手く接着しないからです。
葺き土が崩れている場合は、棟瓦を剥がして、葺き土を使いながら、棟瓦を積み直す必要があります。葺き土は、もともと粘土なので、湿り気を与えれば、粘着力が復活します。
・漆喰を塗り込む
葺き土を使って、棟瓦を積んだら、葺き土の表面に漆喰を上塗りします。隙間なく、漆喰を詰めていきますが、塗りすぎないことがポイントです。
沢山塗りすぎて、雨水にさらされると、漆喰の劣化を早め、また雨水の侵入を誘発することになります。
漆喰は耐水性がありますが、漆喰を塗ったからといって、「防水層」が出来る訳ではないからです。
・表面を整え、仕上げ
葺き土の表面に、漆喰をまんべんなく塗ったら、表面を整えて終了です。あくまで注意したいことは、直接バシャバシャと雨に当たらないよう漆喰を塗ることです。
多めに塗りすぎると失敗しすますので、漆喰の量の加減が重要です。工事業者に依頼しましょう。
・DIYは危険です
屋根の漆喰メンテナンスは、高所作業であるということ、塗り方を間違えると、雨漏りの危険があるということ、そうした意味でも、DIYは危険です。
まず、DIYで補修するということを考えず、20年に1回程度、工事業者に依頼してメンテナンスしてもらいましょう。
屋根の漆喰、補修の相場
棟瓦(むねがわら)の補修は、1mあたり4,000円から10,000円というのが、補修費の相場です。一般的な家で、50mから55m程度の補修は必要ですから、40万程度の費用がかかります。それに、高所作業なので、足場を組み立てる必要があり、それも費用が高くなる原因です。
屋根漆喰の補修費用が高額な理由
屋根の漆喰を補修するとは、棟瓦(むねがわら)の補修です。葺き土が崩れていれば、棟瓦を積み直さないとなりません。高所作業で危険も伴いますし、熟練した職人の技を必要とします。
アルバイトの職人が簡単に施工できる内容ではないのです。
・職人の人件費
職人さんの日当は、1日25,000円とか、30,000円といいます。そのほかにも、諸経費がかかります。1軒の家で、50mから55mの棟瓦があるとして、40万円程度の費用がかかります。
・足場代に掛かる費用
2m以上の高さで作業を行う場合、必ず、足場を組まないとならないことになっています。高い場所の工事になれている専門の職人さんであっても、屋根の上が危険であることは変わりがないからです。
足場の費用は、家の規模にもよりますが、20万から、27万程度かかるのが相場です。
まとめ
屋根に使われている漆喰は、棟瓦(むねがわら)の部分です。屋根瓦の対応年数は、50年とも60年とも言われますが、漆喰は、20年ほどでダメになるので、補修が必要になります。
もし放置していると、漆喰が劣化し、棟瓦を積んでいく際の接着剤となる粘土である葺き土(ふきつち)が崩れ、やがて、雨水が侵入することとなります。
さらに放置していると、雨漏り程度ですまず、雨水が建物を腐らせることとなります。20年に1回50万とか60万といった費用がかかりますが、補修費は、建物を長持ちさせ、安全に過ごして頂くためにも必要不可欠な投資となります。
アトピッコハウスの「漆喰美人」は、内装専用の塗り壁です。屋根にも外壁にもお使い頂けません。ただし、調湿性能、消臭性能が高いので、内装に使用すると、室内を快適にしてくれます。
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よくあるご質問
アトピッコハウスの「漆喰美人」は、屋外に使えますか?
いいえ、お使い頂けません。漆喰美人は、漆喰とついていますが、それは漆喰調に仕上がるという意味での商品名です。本漆喰のように消石灰を原料に使用しておりません。その分、安全性は高いのですが、屋外にご使用いただくことは出来ません。
漆喰美人の調湿性能を教えてくたさい
漆喰美人の調湿性能は、94g/㎡/24hです。一般的な漆喰が40g/㎡/24h程度と言われますので、漆喰の2倍程度の調湿性能があります。調湿建材には、JIS規格で規程があり、70g/㎡/24h以上調湿する性能がないとならないことになっています。
漆喰美人と、はいから小町、どちらがオススメですか?
漆喰美人も、はいから小町も内装専用の塗り壁です。はいから小町は、珪藻土塗り壁で、調湿性能は、241g/㎡/24hで、漆喰の6倍調湿します。もし、調湿性能の優先度が高ければ、はいから小町がオススメですし、消臭性能の優先度が高ければ、漆喰美人がオススメです。
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よく頂くご質問です。アトピッコハウスは建材のメーカーなので、全国各地から資料のご請求やお問い合わせを頂きます。採用したい当社製品の概要をお知らせください。当社製品の工事経験がある工事業者をお探しさせて頂きます。
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