漆喰の種類と違い、日本と海外・用途ほか
目次
日本の漆喰と海外の漆喰
漆喰は、古くからある塗り壁で、神社仏閣、お城、蔵などの内装、外装に塗られているというイメージがあると思います。また、漆喰は、日本だけでのものではなく、海外でも沢山の種類があります。
漆喰の歴史は古く、古代文明から使われていますが、ヨーロッパで見かける白い壁の多くも漆喰です。ヨーロッパの立体的な漆喰と違い、日本では、割れ防止の目的で、藁や麻といった繊維を加え、平滑な漆喰が主流で発展してまいりました。
では、漆喰には、どんな種類や由来があって、日本の漆喰と、海外の漆喰とでは、どんな違いがあるのでしょうか? 詳しく解説したいと思います。
アトピッコハウスには、「漆喰美人」という漆喰調に仕上がる塗り壁がありますが、こちらは、原料の意味では、漆喰ではありません。また、内装専用の塗り壁です。
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漆喰の用途による違い
自然素材の内装材専門メーカー、アトピッコハウスの後藤です。
漆喰は珪藻土の塗り壁と違って、耐水性があります。そのため、室内の内装だけでなく、屋根や外壁といった屋外の壁にも使われますし、瓦の接着剤としても使われます。また、日本では、コテ絵と言い方もしますが、レリーフなどにも使用できます。
トイレ、台所、お風呂場といった水周りにも使えますし、園芸にも使われます。
漆喰というと、主に、土蔵や城の外壁材をイメージすることが多いと思いますが、それは、漆喰に耐火性があったことによるものです。それが、「白い壁」という意匠性と相まって、広く庶民にも普及しました。
しかし、漆喰は、下地の上に塗られる、1mm程度の仕上げ材です。漆喰だけの厚みで、火事を防げるわけではありません。昔の漆喰が防火目的で使われたのは、漆喰の下地が、15cmも、20cmもある土壁だったからです。
現代の住宅は、内装の下地が石膏ボードですから、防火の目的には使えませんし、調湿性能も大きく期待できません。主に、内装に漆喰が使われる用途は、意匠性です。
調湿性能を求めるのであれば、漆喰ではなく、珪藻土のほうが向いています。
下地用漆喰と、仕上げ用漆喰
漆喰に限らず、多くの塗り壁材は、下地処理という作業が必要となり、漆喰も、下地用漆喰と、仕上げ用漆喰の2種類があります。
作業工程は、下地用の漆喰を下塗りし、その後、仕上げ用の漆喰を上塗りします。消石灰を原料としている本格的な漆喰では、この下塗りは避けて通れません。もし、下塗り不要ということであれば、本物の漆喰ではなく、漆喰風、または漆喰調の塗り壁だと思います。
漆喰製品を製造販売しているメーカー各社は、自社の仕上げ用漆喰に適した種類の下地用漆喰を準備していますので、メーカー指定の下地用漆喰を使い、メーカー指定の方法で、下地処理を実施することをお勧めします。
メーカーが指定する施工要領に基づかないで工事をすると、ひび割れ、色ムラ、剥がれといったトラブルが発生する可能性があります。
このように漆喰は、下塗りと、上塗りの2回の漆喰塗りがあるため、珪藻土などの塗り壁よりも高くなるのです。
漆喰の英語表記の奇妙
漆喰は、海外にも沢山の種類があって、外国製の漆喰を輸入しているメーカーや代理店もあります。ヨーロッパで見かける「白い壁」、憧れますよね!
特に、ヨーロッパなどで見かける種類の漆喰は、日本と違って、立体的です。これは、家の構造が、石なのか、木なのかといったことにも影響があります。日本の建物は、木造が基本ですから、柱と柱の間の壁に、漆喰の下地を作り、仕上げの漆喰を塗る訳です。
日本で海外の漆喰を塗る場合は、下地が石膏ボードなので、ヨーロッパで見かけるような立体感のある塗り壁にはならないということを理解しておかれると良いと思います。
漆喰を英語で訳すと、plaster(プラスター)または、stucco(スタッコ)と出てきます。しかし、plaster(プラスター)を日本語に訳すと、石膏と出てきます。漆喰は、炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とした堆積岩が原料で、石膏ボードの原料である石膏は、硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする鉱物なので、まるっきり違うものです。
原料も用途も違うので、もし、海外の漆喰を採用したいという場合は、漆喰なのか、石膏なのか種類を確認されると良いと思います。珪藻土ほどではありませんが、漆喰には調湿性能がありますが、石膏には、調湿性能がないので、調湿性能を期待して塗り壁を採用したのに、がっかりする危険性があります。
本漆喰と漆喰調塗り壁の違い
昔からある本物の漆喰は、下地が15cmとか20cmある土壁の上に塗られたものでした。その時代の漆喰であれば、調湿性能もたっぷりあって、土蔵も湿気から美術品を守れたと思います。
しかし今の漆喰は、石膏ボードの上に、化粧として、1mm程度しか塗られていないので、調湿性能は、あまり期待できません。しかも、下地の石膏ボードには調湿性能がないので、ますます昔の漆喰とは違う訳です。
つまり調湿性能を期待して、漆喰にすると、残念なことになるわけです。
もし、調湿性能を期待して塗り壁にするのであれば、漆喰調に仕上がる塗り壁製品を選ばれてはどうでしょうか?
各社から色々と出ています。
また、本物の漆喰は、着色が難しく、かつ、漆喰調と呼ばれるフラットな仕上げは、漆喰DIYでは、無理です。出来ません。
もし、漆喰をDIYされたいのであれば、漆喰調の塗り壁を選ばれることをお勧めします。
アトピッコハウスの「漆喰美人」は、モンモリロナイトを主原料にしているので、原料の意味では漆喰ではありません。漆喰調に仕上がり、調湿性能は漆喰の2倍、消臭性能の高い塗り壁です。
▶漆喰調に仕上がる、漆喰2倍調湿する「漆喰美人」の詳細は、こちら
漆喰の価格による違い
漆喰は、原料そのものは、安いものです。しかし、そこに、割れ防止のスサと呼ばれる繊維や、壁に不着させるための「のり」などを加えていくと、高くなっていきます。
スサや糊といった副資材が、あらかじめ混ぜられたプロ用の製品もありますが、それはそれなりに高くなります。
また、本格的な漆喰は、プロでも工事が難しいし、手間がかかるので、工事代を含めた漆喰の価格は、高くなります。
漆喰調の塗り壁は、漆喰と比較すると工事が簡単ですが、材料代は、それなりなので、プロに工事を依頼した場合、本格的な漆喰と、それほど変わらない金額になります。
では、DIYはどうかというと、プロ用の本格的な漆喰は、素人のかたのDIY施工は無理です。もし、DIY施工するなら、DIY用の漆喰を選ばれたほうが確実です。
ただ、漆喰DIYは、準備と片付けを含めて、漆喰DIYですから、準備と片付けを無視すると、後悔することになります。
漆喰のDIY施工で、ありがちな失敗・解決策を解説しましたので、ご参照ください。
仕上げパターンによる漆喰の違い
漆喰は、漆喰調と呼ばれるフラット(平滑)な仕上げに特徴があります。しかし、この仕上げは、熟練の左官職人さんの高い技術と、丁寧な手間暇があって、やっと実現するものです。
ただ、消石灰を原料とした本物の漆喰であれば、技術があって、手間をかければ、鏡のようにピカピカになり、顔が映るくらいになります。
ただ、そこまでしてしまうと、ペンキと何が違うの? という感じになりますし、最近の流行としては、各種のパターン仕上げを好まれますから、DIYで漆喰を塗る場合でも、プロに工事を依頼する場合でも、コテやローラーを使って、好きに模様を付けて塗ってよいと思います。
漆喰の塗り方は、こちらでご紹介しています。
プロが使う漆喰と、DIY用の漆喰
プロが使う漆喰と、DIY用の漆喰は、種類が違います。また、プロ用の製品だけど、DIYも出来るといった漆喰もあります。ただ、プロは、DIY用の漆喰は使いません。
それは、プロ用の製品の方が、調湿性能や消臭性能が全判的に高く、作業性もプロにとっては、プロ用の漆喰のほうが、効率が良いからです。
プロ用の製品は、粉で届き、現場で水を加えて撹拌しないとなりません。
しかし、DIYの漆喰は、あらかじめ「練った状態」で届く製品もあります。ただ、注意しないとならないのは、漆喰を塗る前の準備や、後片付け、揃えないとならない道具等は、「撹拌機」以外は一緒だということです。
バケツ、ヒシャク、コテ、コテ板、養生シート、マスキングテープなど、全部揃えないとなりません。
その上で、漆喰DIYに挑戦するのかどうかを考えた方が良いです。
アトピッコハウスの漆喰美人は、漆喰調に仕上がる塗り壁です。
プロ用の製品ですが、DIYも可能です。
▶DIYも出来るプロ用の漆喰調塗り壁「漆喰美人」の詳細は、こちら
ただ、粉で届くので、現場で水を加えて撹拌する必要があります。ただし、調湿性能は、一般的な漆喰の2倍、消臭性能は、珪藻土塗り壁「はいから小町」よりも高性能です。
まとめ
漆喰は、全世界に沢山の種類がありますが、消石灰を原料とした白い壁が漆喰とも言えます。また、漆喰は手軽な塗り壁である反面、美しく仕上げようと思うと難易度の高い製品です。
また、消石灰は強アルカリであるみとから、DIY施工などは注意しないと危険を伴います。最近は、DIY用の手軽に塗れる漆喰も登場していますが、原料が消石灰の場合は、やはり安全面に注意が必要です。
アトピッコハウスの漆喰調塗り壁「漆喰美人」は、消石灰ではなく、化粧品の原料にも使われるモンモリロナイトを主原料としています。調湿性能は、一般的な漆喰の2倍以上。消臭性能も高いです。
よくあるご質問
漆喰は、屋内にも屋外にも塗れますか?
はい。漆喰は消石灰を原料としており耐水性がありますので、屋外や水回りなどにも使って頂けます。お城の外壁や、土蔵の内外装に使われているところは、よく見かけると思います。
アトピッコハウスの「漆喰美人」は、漆喰調の塗り壁なので、屋外には塗れません。
漆喰の調湿性能を教えてください
塗り壁の調湿性能は、JIS規格に評価基準が定められていて、70g以上でないと、調湿建材と呼べないことになっています。一般的な漆喰の調湿性能は、40g程度と言われていますので、ビニールクロスよりは調湿しますが、調湿建材とは言えないレベルです。
漆喰美人は、DIYできますか?
漆喰美人は、漆喰調に仕上がるプロ用の塗り壁です。DIY用の漆喰よりは、難易度は高くなりますが、DIYによる施工も可能です。DIY用の漆喰と違い粉で届くので、現場で水を加えて練って頂く必要があります。
漆喰美人の調湿性能は、どの程度ですか?
漆喰美人は、モンモリロナイトを主原料とした漆喰調に仕上がる塗り壁です。調湿性能は、94g/㎡/24hです。調湿建材の最低性能が70gなので、漆喰の2倍以上、JASの基準もクリアしています。
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アトピッコハウスは、無垢・珪藻土・漆喰・クロス・畳など
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