珪藻土と肺がんの因果関係、珪藻土の発がん性問題(最終報告)
「珪藻土って、発がん性があるの?」
「壁を珪藻土にすると、健康に悪いの?」
結論としては、心配しなくて良いと思います。
ニトリが販売した珪藻土バスマットに、アスベストが含まれているということで、商品の回収騒ぎがありました。2005年に「珪藻土の発がん性」が騒がれることがあり、このブログを書きましたが、珪藻土の発がん性の真偽、アスベストの危険性など、現状を踏まえて、最新情報を書き足したいと思います。
アスベストは肺がんを誘発する発がん性があります。しかし、珪藻土そのものには発がん性はありませんし、珪藻土マットに危険性はありません。珪藻土コースター、珪藻土スプーン、珪藻土クロス、その他、ダイソーなど100均で販売されている珪藻土商品も、有害物質が含まれている訳ではありません。
アトピッコハウスは、珪藻土塗り壁「はいから小町」、漆喰調塗り壁「漆喰美人」、カオリンの壁「パーフェクトウォール」という3種の塗り壁を作っています。
▶珪藻土塗り壁「はいから小町」の詳細は、こちらをご覧ください。
まずは、珪藻土の安全性から話を進めたいと思います。
目次
珪藻土の発がん性について正しい知識を探る
まず珪藻土の発がん性が話題になったのは、2005年のことです。ドイツでは、珪藻土は発がん性があるので、使用が禁止されているという根も葉もない噂が広まりました。環境先進国のドイツで禁止ということで、もっともらしく聞こえましたが、ドイツには、その根拠となる話が、どこにも見当たりませんでした。
唯一見つかったのが、WHOの関係機関であるIARC(国際がん研究機関)が、珪藻土を「ヒトに対する発がん性について分類できない」としてグループ3に分類していることでした。
グループ3には、アルコール飲料や太陽光も含まれます。では、珪藻土は危険物なのか、あるいは、危険物だとした場合は、危険度はどの程度なのかは、のちほど詳しく触れたいと思います。
珪藻土は、漆喰と同様に塗り壁材として、壁に使用されます。壁紙や乾燥剤などとしても使われます。また、猫が爪とぎをしたりもするので、もし、珪藻土に毒性があり、有害なものであれば、珪藻土の粉(粉塵)を吸った猫も危険という話になります。
しかし、そんなことはありません。
非結晶シリカと、結晶質シリカの違いとは?
WHOの下部組織であるIARC(国際がん研究機関)では、そのままの珪藻土は非結晶シリカであるとし、グループ3に分類しています。しかし、濾過助剤として使われる珪藻土は焼成する過程で、珪藻土の一部が結晶性シリカに変わります。
結晶性シリカは、クリストバライトとも呼ばれ、グループ1に分類されます。
珪藻土に発がん性があるという人は、結晶性シリカが、グループ1なので、危険だと言っています。しかし、結晶性シリカそのものが危険なのではなく、炭鉱夫など、作業環境において日常的に大量に吸引した際に、「肺がんを誘発する可能性」があることを指摘しているのです。
グループ1に該当するものは、ほかにも海岸の砂とか、ゴルフ場のバンカー、公園の砂場など、身近なあらゆるものが該当します。つまり、細かい粉塵を大量に吸い込むと健康に良くないということなのです。
グループ1 | ヒトに対して発がん性を示す |
グループ2A | ヒトに対して恐らく発がん性を示す |
グループ2B | ヒトに対して発がん性が示す可能性がある |
グループ3 | ヒトに対する発がん性について分類できない |
グループ4 | ヒトに対しておそらく発がん性を示さない |
珪藻土の発がん性に関する公的機関の見解
アスベストに肺がんを引き起こす発がん性があるのは、細かくとがった繊維であることから、一旦、吸引すると肺からでることがなく、数十年後に、肺気腫を誘発させる可能性があるからです。
しかし、WHOの定義によると、肺の内部に吸入されるのは直径が3ミクロン以下の粉塵で、長さがその3倍以上のものとされています。アスベストはその条件に当てはまり、容易に肺まで達してしまいます。しかし、珪藻土は、数十ミクロンと大きく、万一吸引しても肺まで到達することはありません。
また珪藻土の粒子は円盤状なので、肺に刺さって抜けなくなるという心配もありません。
下記は一例ですが、珪藻土に発がん性があると認定した機関は、国内外を問わずありません。
- IARC(国際がん研究機関)
- 社団法人 日本産業衛生学会
- ACGIH(米国産業衛生専門家会議)
- 米国EPA(環境保護庁)
- 米国NTP(国家毒性プログラム)
- EU(欧州連合)
- BGIA(ドイツ連邦職業協会安全研究所)
- TRGS(危険物に関する記述規則)
珪藻土とアスベストの違い
珪藻土に限らず、結晶性シリカはIARC(国際がん研究機関)の分類によると、グループ1となり、「ヒトに対して発がん性を示す」訳ですが、日常生活における少量の吸引は問題ではなく、仕事など作業環境における大量の吸引が問題でした。
しかし、珪藻土は粒子が大きく、形状も円盤型なので、肺の奥まで入らず、肺に刺さることもありません。
ところがアスベストの直径は、1ミクロン以下であり、針状をしているため、肺の奥まで入り、肺壁に突き刺さります。そして、数十年後に、肺気腫等を引き起こすのです。
珪藻土の最大の用途は濾過助剤である
珪藻土は、七輪の材料であったり、塗り壁の材料でもある訳ですが、最大の用途は、濾過助剤です。ビールや醤油等の加工食品の製造の際、濾過材として使われています。
濾過助剤としての珪藻土は、1,000度以上の高温で焼成した最高級品の珪藻土です。1,000度以上で焼くことで、珪藻土の目詰まりが解消され、食品加工等に使えるようになるのです。
山から掘り起こしただけの珪藻土は、不純物が含まれており、食品加工には使えません。
珪藻土の発ガン性に関して(最終報告)
以下は、2005年に書いた「珪藻土の発ガン性に関して(最終報告)」という記事です。
2021年現在においても、内容に誤りはありません。
珪藻土の安全性に不安を持たれるのであれば、参考になると思います。
そして、珪藻土は体に良いと感じられるようであれば、室内の壁に珪藻土の塗り壁を塗るという選択をされても良いと思います。
アトピッコハウスの珪藻土塗り壁「はいから小町」は、一般的な漆喰の6倍以上調湿する調湿性能の高い塗り壁です。
珪藻土の発ガン性に関して(最終報告)
珪藻土(けいそうど)の発ガン性に関して、いまだに、良からぬ噂を流す人がいますが、珪藻土に発がん性はないという当社判断に変わりはありません。
2008年5月現在の最新情報を交えて、再度最終報告を改めて4つにまとめました。
- 食品メーカーも大量に使用している
- 日常生活下ではクリストバライトを大量に吸引しない
- 「焼成珪藻土=結晶性シリカ」ではない
- 健常者への結晶性シリカの発がん性は確認されていない
それでは1つ1つ解説をしていきましょう。
珪藻土に発ガン性がない理由①食品メーカーも大量に使用している
こんにちは!
無垢・漆喰・珪藻土「自然素材の内装材ブログ」を運営している
アトピッコハウス㈱、自然素材のパイオニア後藤坂(ごとうさか)です。
アトピッコハウスは小さな会社です。
こんな小さな会社が騒いでも信ぴょう性に欠けますが、日本での焼成(しょうせい)珪藻土の最大の消費者は、ビールメーカーです。
ビールをつくる過程で、ろ過材として珪藻土を活用しています。
参考として、焼成珪藻土の用途別シェアをご紹介させて頂きます。
- ビール 12,500t
- 顔料 3,000t
- 圧延油(アルミ製造時)3,000t
- 抗生物質 4,000t
- 糖化製品 5,000t
- 醤油 2,200t
- 食品 3,000t
- 砂糖 2,000t
- 化学工業 1万t
- プール、風呂、クリーニング 3,500t
- 充填剤 2,000t
- その他 29,800t
- 合計 8万t
このように、焼成珪藻土を最も多く使っているのはビールメーカーです。
また食品や化粧品に使った場合は、壁に塗ってある以上に直接吸引する危険もあり、塗り壁材以上に大問題となるはずです。
それに比べ、焼成珪藻土の塗り壁への使用量などはごくごく微々たるもの。
本当に焼成珪藻土に発がん性があるのなら、厚生労働省が大騒ぎしているハズ。
珪藻土に発がん性がない理由②日常生活下ではほとんどクリストバライトを吸引しない
珪藻土に発ガン性があると主張する根拠として、クリストバライトを攻撃するケースがあります。
珪藻土を焼くと、一部の原料が結晶性シリカ(クリストバライト又はクウォーツ)というものに変化します。
その結晶性シリカが、国際ガン学会(IARC)で、肺がん物質としてグループ1に
分類されていることで危険だ、危険だと騒いでいます。
しかし、本当に危険なのでしょうか?
結晶性シリカは、時計に使うクウォーツ(石英)と同じで、どこにでもあります。
では、なぜ国際ガン学会で結晶性シリカがグループ1に指定しているかというと、炭鉱で働く人で肺がんになった人がいたためです。
そのことを挙げて、労働環境によっては肺がんを引き起こすことがあると指摘している訳です。
採掘現場の労働環境の悪さは、皆が想像するように劣悪なものです。
しかし、多くの人は大量に結晶性シリカを吸引する環境にはいません。
むしろそういう環境の中で採掘して下さる方がいらっしゃるから、私たちは天然素材を安心して使えるのです。
珪藻土に発がん性がない理由③「焼成珪藻土=結晶性シリカ」ではない
もう一つの議論として、珪藻頁岩(けいそうげつがん)は安全だが、珪藻土は危険だという見解があります。
珪藻頁岩はクウォーツ(石英)で、焼成珪藻土はクリストバライトだという主張です。
その真偽は別として、国際ガン学会(IARC)ではクリストバライトとクウォーツを
包括して「結晶性シリカ」と表現しています。
つまり、国際ガン学会の資料では、クウォーツも結晶性シリカと表現しています。
以下は、まだ情報が少なかった時に調べた内容で、問合せが入った取引先に回答したものですが、参考までにご紹介します。
なお、クリストバライトとクウォーツの発がん性に関して、先日ご紹介させて頂きました。
また、IARCの日本語訳の資料や、珪藻頁岩はクリストバライトが主原料であるということを証明する学術的な資料は、私の手元にありますので、いつでも公開できます。
珪藻土に発がん性がない理由④健常者への結晶性シリカの発がん性は確認されていない
IARC(国際ガン学会)では、珪藻土も焼成珪藻土も、発ガン物質に指定していません。
問題なのは、鉱物を焼いた時に出来る結晶性シリカです。
これは、IARCで既にグループ1に分類されています。
また珪藻土を焼いた時にも、一部結晶性シリカが出来る場合があります。
問題の発端は1996年にIARCが「結晶性シリカは人に対する発がん性がある」という発表をしたことから始まります。
これは単純に結晶性シリカに発がん性があるという話ではなく、「結晶性シリカにより珪肺(けいはい)患者が肺がんを併発する可能性が高まる」という報告です。
つまり、結晶性シリカが健常者に与える健康被害とは別の話なのです。
また労働環境での高濃度暴露が問題となる訳です。
そもそも、発がん性とは何か?
IARCにおいて、「発ガン性があると確認されている」グループには、
珪藻土は記載されていません。
一方で、結晶性シリカ(石英・クリストバライト)を指して発がん性があると指摘しています。
ここで、発がん性について確認する必要があります。
「発がん性物質」とは、放射線やウイルス・一部化学物質のことです。
もうひとつ「変異原性」というものがあります。
細胞に傷をつけ、それががん細胞になるきっかけになるもので、イニシエーション(きっかけ)からプロモーションという段階を経るものです。
ただし、人は生活の中で様々なものを呼吸したり食べたりしているため、因果関係を調査するためには、膨大な時間と費用がかかります。
このため、普段の生活レベルで「変異原性」の物質を指して、がんになると考えることは、実は難しいのです。
つまり、発がん性があるということと、がんになることは別問題ということです。
先の「発ガン性があると確認されている」グループには、現在の食材のほぼ全てにあるとされるアフラトキシンというカビ毒があります。
このカビ毒は、女性ホルモン、太陽光、アルコール、木の埃、鉱油、コールタールなどにも含まれます。
こうなると
- 現在の食材は全て発がん性がある
- 現在の家は全て発がん性がある
- 車は発がん性がある
- 道路は発がん性がある
- 外に出ることも発がん性がある
- 女性は発がん性が高い
ということになります。
日本人が敏感になる「発ガン性」という言葉で、恐怖心をあおるのは非常に無責任なことだと考えます。
物事は、全て良い面と悪い面を持ち合わせています。
きちんと説明することが重要です。
発がん性について、焼成珪藻土や白色珪藻土など「固有名詞」的なものを
検証するような公的機関はありません。
色々調べても新しい話が見つからないので、やはりこのサイトが一番
参考になります。
アスベストが問題になった時期、珪藻土以外を原料とする塗り壁メーカーが
珪藻土を叩く意味で、話題にし始めました。
その時、素人ながら、ちょっとした研究者以上に調べてくれたのが、
このブログを書いたYさんです。
相当詳しく調べ、そして書いてくれているので、分かりやすい内容になっています。
焼成珪藻土の発がん性の議論は終わりにします
珪藻土の安全性が信用できないのであれば、あえて珪藻土塗り壁を
選択肢に入れる必要はない、ですよね?
塗り壁は珪藻土以外にも、選択肢は色々あります。
焼成珪藻土を作っているメーカーが信用できないのなら、どうぞ他社にご相談ください。
焼成珪藻土の発がん性について納得したし、アトピッコハウスの姿勢にも共感する!という方にだけ、
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アトピッコハウスには、種類の違う3種類の塗り壁があるので、
珪藻土以外を検討したい方には、参考になると思います。